島根で注文住宅を建てる際知っておきたい高気密高断熱住宅の基準
2023.11.30高気密高断熱住宅は現代の住宅建築における重要な概念となっています。これらの住宅は、効率的なエネルギー利用と快適な居住環境の提供を目的としており、C値やUa値などの基準を用いてその性能が評価されています。
しかし、これらの基準を満たすためには、特定の注意点や適切な業者の選定が必要です。高気密高断熱住宅の建設に関して、その基準、メリット、デメリット、そして選択すべき要素について詳しく見ていきましょう。
高気密高断熱住宅の基準は?C値とUa値
近年、高気密高断熱の住宅が注目を集めていますが、その基準を示す数値があります。ただし、この数値を満たせば「高気密高断熱住宅」というものではなく、あくまでそれぞれのメーカーや会社が定めたもののため、注文住宅を建てる際の参考程度に覚えておくとよいでしょう。
◇C値とは?
C値とは相当隙間面積というもので、床面積1㎡あたり隙間がどのくらいあるかを示す数値です。数値が低ければ低いほど隙間が小さいという意味で、気密性が高いことを示します。このC値は寒冷地であれば低い方がよいのでは?との声も多いです。
しかし、気密性が高ければ夏であれば涼しく、冬であれば暖かく室内を保てるため、寒冷地であっても温暖地であっても関係ありません。C値の求め方は「C値=住宅の全体の隙間の合計面積÷延べ床面積」で数値を割り出せます。
また、C値を割り出すには先に気密測定を行う必要があり、気密施工完了または建築工事が終わり次第、気密測定技能者が専用の機械を使用して行うのが特徴です。
◇Ua値とは?
Ua値とは、外皮平均熱貫流率の数値のことをいいます。この数値は、室内と外の温度差が1℃ある場合に家全体で外皮1㎡あたりに逃げる熱量を示したもので、Ua値が低ければ低いほど、断熱性に優れているということです。
Ua値は地域ごとに数値の基準が異なるため、その基準を満たしていれば、高断熱性の住宅といえます。外気や使用している冷暖房設備が異なるため、1地域(旭川市)~8地域(那覇市)の8つの地域に区分されていますが、都道府県別ではなく市区町村ごとで異なります。Ua値の確認は市区町村で調べるよう間違わないでください。
地域区分は以下になります。
1地域(旭川市)
2地域(札幌市)
3地域(盛岡市)
4地域(仙台市)
5地域(宇都宮市)
6地域(東京23区)
7地域(長崎市)
8地域(那覇市)
また、この地域区分は見直しが行われることもあるため、島根県で家を購入する際は事前に確認しておくとよいでしょう。
高気密高断熱住宅のメリットとは?
◇耐久性に優れている
高気密高断熱住宅には、さまざまなメリットがあります。高気密高断熱の住宅は、24時間換気システムが導入されているため、常に新鮮な空気で過ごせるのが魅力です。湿気が室内にこもることもないため、結露になりづらくカビやダニが繁殖することもありません。また、シロアリなどの外注による劣化も防げるのもメリットのひとつです。
◇ヒートショックのリスクを軽減できる
ヒートショックは浴室や脱衣所など、室温に差がある場所で起こることが多く、血圧が一気に上下変動して心筋梗塞や脳卒中などを起こしてしまいます。
しかし、高気密高断熱の住宅は、部屋ごとの室温に差がないようにつくられているためヒートショックのリスク軽減が可能です。
ただし、高気密高断熱の住宅でも脱衣所と浴室内で温度差があるとヒートショックを起こす可能性があります。マイホームを建てる際は浴室・脱衣室の周囲に注意を払いしましょう。
◇遮音性に優れている
気密性の高い住宅は、隙間が少ないため音が外に漏れることも外から入ってくることもありません。
そのため小さな子どもがいる家庭でも近隣を気にすることなく、快適に過ごせるというメリットがあります。
◇光熱費を抑えられる
高断熱の住宅は、冷暖房の稼働効率が上がるため、冷暖房設備に負担がかかりません。そのため、無駄な電力を使わず電気代を抑えられます。洗濯物も乾燥しやすく梅雨時でもよく乾きます。
なお、政府が行っているCO2削減施策の補助金や税制優遇の対象になっている点も強く関心を持たれるところです。
高気密高断熱住宅で注意するポイント
高気密高断熱の住宅はメリットだけではありません。デメリットもあるため、知っておくと家を建てる際の参考になります。
◇建築コストが高い
高気密高断熱の住宅の特徴は、建築にかかるコストが高いことです。断熱材の使用やそれに適した設計など、通常の住宅と比較すると施工工程が多いため高めになります。
断熱材だけでなく、窓ガラスやサッシ、ドアなど細かな部分も気密性と断熱性にこだわらなければなりません。
◇乾燥しすぎてしまう
高断熱の住宅は、冬場の室内が過剰に乾燥してしまうことが多いです。乾燥対策としては、室内に洗濯物を干すのと加湿器を設置すると乾燥を解消できます。
◇施工不良による結露が発生する場合がある
壁の内部に断熱材を入れている場合は、施工不良で気密性が下がるケースも少なくありません。これにより、壁内部に水が入ってしまい結露が発生してしまいます。
◇石油暖房器具が使えない
石油ストーブなどの暖房器具は、高断熱の住宅には適しません。一酸化炭素を発生させてしまうため最悪の場合、大事故につながることもあります。利用を制限するか利用不可とするか、いずれにしても注意が必要です。
しかし、こういったデメリットも、いくつかのポイントを押さえることで問題を最小限に抑えることができます。
◇業者はしっかりと調べてから選ぶ
高気密高断熱住宅を建てる際は、高気密高断熱を積極的に提供しているか調べてから選びましょう。
工務店の中でも、昔ながらの工法にこだわっている会社もあります。また高気密・高断熱に対して消極的な工務店もあります。
気密性や断熱性にこだわっていても気密測定を行わない業者もいるため、工務店やハウスメーカーを選ぶ際は、気密測定の有無も含めて確認しておくと安心です。
◇補助金制度や優遇制度などを活用する
ZEH支援事業をはじめとする補助金制度が国や自治体から交付されています。
省エネ住宅には、ある一定の基準を満たしている場合、住宅ローンの控除可能な金額が割り増しされるといった優遇制度もあるため、家を建てる際は確認するのがおすすめです。
◇換気システム選びも慎重に
換気システムは選び方を間違えてしまうと、換気不足で室内に湿気が溜まりやすくなり、結露が発生してカビやダニが好む環境になってしまう危険性もあります。
アレルギーによる喘息やアレルギー性鼻炎、皮膚炎などを発症してしまう恐れがあるため、注意が必要です。おすすめのシステムはどれなのか、担当者などに聞いて選ぶとよいでしょう。
高気密高断熱住宅は、快適な居住環境とエネルギー効率の向上を実現します。重要な基準であるC値は家の隙間の少なさを、Ua値は断熱性の高さを示します。地域ごとに断熱基準が異なるため、評価は地域区分に基づいて行われます。 高気密高断熱住宅のメリットには、耐久性、ヒートショックリスクの軽減、遮音性、光熱費の削減がありますが、建築コストの高さ、過剰な室内乾燥、施工不良による結露、石油暖房器具の使用制限などの注意点も存在します。業者選びは慎重に行い、適切な換気システムの選定が重要です。また、補助金制度や優遇制度の活用も有効です。