狭い土地でも平屋は可能!人気が高まるコンパクトな平屋注文住宅
公開:2024.09.18 更新:2024.09.18狭い土地でも平屋を建てることが可能な「コンパクトな平屋注文住宅」が注目を集めています。平屋は広い土地が必要とされがちですが、工夫次第で限られたスペースでも快適な住まいを実現できます。
スキップフロアや廊下を省く設計、高い位置に窓を設置するなど、空間を効率的に活用することで、明るく開放的な室内環境を作り出すことが可能です。また、平屋の持つシンプルな動線とワンフロアの利便性が、子育て世代やシニア層にとって大きな魅力となっています。
目次
平屋の特徴と利点
平屋住宅は、全ての生活空間が1フロアに集約されているため、移動の負担が少なく、幅広い世代に人気の住宅スタイルです。シンプルでありながら機能的なデザインが可能で、居住者のライフスタイルに合わせた自由な間取り設計が魅力となっています。
◇平屋の特徴
平屋の特徴は、全ての生活空間がワンフロアに収まる一階建ての住宅です。階段がなく、すべての生活空間が1つのフロアに集約されているため、動線がシンプルで、生活がしやすいという特徴があります。
かつて日本では平屋が主流でしたが、土地の高騰や人口の増加によって住宅の在り方が変化してきました。特に都心部では、限られた土地に家を建てるため、二階建てや三階建ての住宅が中心となったのです。
階段を使う必要がなく、移動がスムーズであるため、主にシニア世代に人気がありましたが、現在では若い世代や子育て世代からも支持されています。
◇平屋の利点
平屋は階段の上り下りの負担が無いだけでなく、さまざまな利点があります。平屋の主な利点は以下の通りです。
生活動線がシンプル
全ての生活空間がワンフロアに収まっているため、移動が楽で、生活動線がシンプルで効率的です。たとえば、洗濯物を干す際には階段を使わずに横移動だけで済み、掃除時も階段の昇降や雑巾がけの必要がありません。
そのため、日々の家事が効率的かつ楽になり、日常生活のストレスを軽減できます。
家族間のコミュニケーションが活発になる
生活スペースが1フロアに集中しているため、家族間のコミュニケーションが活発になります。リビングを中心にした間取りや対面式キッチンにすると、子どもの帰宅時や出かける際も顔を合わせややすくなり、家庭内の交流が活発になり、結果として家族の絆が深まるでしょう。
設計の自由度が高い
平屋建ては設計の自由度が高く、階段のスペースが不要なため間取りが自由になり、広々としたリビングやキッチン、高い天井や大きな窓を実現しやすいのが特徴です。また、バリアフリー設計が容易で、全ての生活空間がワンフロアであるため、高齢者や車椅子の方にも安全で快適な住まいが可能です。
耐震性に優れている
建物の高さがあると、地震時の震動や台風などの影響を受けやすいですが、平屋は構造的に安定しやすいのも利点です。
平屋の敷居が高く感じてしまう原因
画像出典:フォトAC
平屋住宅は、その利便性やデザインの自由度から多くの人々に人気がありますが、実際に建築する際にはさまざまな要因で敷居が高く感じられることもあります。土地の広さや建築コスト、プライバシーの確保など、平屋特有の課題が存在するためです。
◇平屋の建築費用が割高
平屋はワンフロアのため2階建てより安いと思われがちですが、実際には屋根や基礎の面積が広がるため、同規模の2階建てに比べて建築費は約10%~20%程度高くなります。これは、1階の床面積が広くなると、それだけ屋根の面積も広くなるためです。
屋根工事は建築費用の中で金額の割合が大きい部分なので、坪単価に影響を与えやすくなり、間取りによっては壁の面積も増えることがあります。たとえば、延べ床面積が30坪の家を建築する場合、平屋では建築面積も30坪、2階建てでは15坪となります。
同じ床面積でも、平屋の方が基礎、小屋組み、屋根工事の面積が2倍となるため、平屋の方が割高になってしまうのです。ただし、建ぺい率が高い土地を選択すれば、必要な敷地面積とコストを節約することが可能です。
建ぺい率は敷地面積に対して一階部分がどれくらいの広さで建てられるかを定めるもので、建築基準法で定められています。たとえば、敷地面積100㎡で建ぺい率50%の土地では、50㎡までの平屋が建設可能です。
◇広い土地が必要
平屋は全ての部屋を一階に配置し、駐車場などの外構スペースも必要となるため、広い土地が求められます。特に土地代が高い都心部では、これが原因で予算オーバーになることも珍しくありません。
また、これにより購入した土地の固定資産税評価額が高くなり、固定資産税と都市計画税が高額になる点に注意が必要です。
コンパクトでローコストな平屋も人気
近年、コンパクトでローコストな平屋住宅が注目を集めています。必要なスペースを効率的に配置し、シンプルな構造にすることで、建築費用を抑えながらも快適な住環境を実現できます。
◇コンパクトな平屋
コンパクトな平屋とは、機能性やデザイン性の高さと、コストを抑えることが可能である点から、注目されている住宅です。広さに関する厳密な定義はありませんが、一般的に延べ床面積が30坪未満の住宅がコンパクトな平屋とされています。
具体的な広さの目安としては、二人暮らしに適したサイズは約15坪、ファミリー向けでは20〜30坪が一般的です。
◇コンパクトな平屋の利点
コンパクトな平屋は、費用面では土地代、建物代、税金などのコストを削減できる点が大きな利点です。住宅が小さいため、土地代や建築資材の使用量が減り、施工者の必要人数も少なくなることから、建築コストが抑えられ、ランニングコストも抑えられるため、光熱費やメンテナンス費用の節約が可能です。
また、土地のサイズが小さいほど、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用され、長期的に見ても経済的な利点があります。具体的には、60.5坪(200平方メートル)以下の土地は「小規模住宅用地」として分類され、税額が軽減される対象です。
また、コンパクトな平屋は、生活に必要な部屋や設備がワンフロアにあり、どこにでもスムーズに移動することが可能で、段差を最小限に抑えてフラットな構造を採用しています。
これにより、高齢になっても負担が少なく、長く住み続けることが可能です。
他にも、平屋は水回りを集中させることで家事の効率が上がり、家庭内の動きをスムーズにします。これは小さな子どもがいる家庭や共働き世帯、高齢者がいる家庭にとって大きなメリットです。
狭い土地に平屋を建てる際のポイント
平屋は広い土地が必要とされることが多いですが、工夫次第では狭い土地でも快適な住まいを十分に実現できます。設計の工夫や限られたスペースの有効活用により、狭い敷地でも理想的な住環境を作り上げることが可能です。
◇スキップフロアを設置する
スキップフロアは床を半階ずつずらして中2階のような居室を設ける構造です。平屋にスキップフロアを取り入れることで、ワンフロアの利便性を保ちつつ、多様なライフスタイルに適応し、空間に立体感と奥行きを加えることができます。
また、高さの違いを活かして空間に変化を与えられるため、階段下のスペースを収納として利用することで、居住面積を減らさずに収納スペースを増やすことも可能です。
◇廊下をなくす
廊下のない平屋は、直接各空間に繋がるため動線が短いため、効率的な設計が実現します。たとえば、キッチンと洗面所、脱衣所とランドリールームを直接繋ぐ家事動線設計は、家事の負担を軽減し、日常の移動をスムーズにします。
また、壁が少なくなることで自然光が部屋全体に広がり、窓や扉を開けることで風の通りが良くなり、室内の換気が容易になって快適な住環境を保てるでしょう。
◇窓の工夫
狭い土地に平屋を建てる際、窓の設計は快適な室内環境を作るために非常に重要です。大きな掃き出し窓を使えば、室内にたっぷりと自然光を取り込むことができ、部屋を明るく、風通しも良くします。
また、これらの窓は中庭への出入りをスムーズにし、大型家具の搬入や災害時の避難経路確保にも便利です。しかし、道路に面した側に大きな窓を設置すると、防犯面やプライバシーの確保が難しくなるため、細長い窓や小さな窓を使うと良いでしょう。
さらに、周囲の建物が高い場合や隣家との距離が近い場合には、日当たりが悪くなることもあるので、天窓や高い位置に窓を設置するなどの工夫が必要です。
平屋住宅は、全ての生活空間がワンフロアに集約され、移動の負担が少ないため、シニア世代をはじめ、若い世代や子育て世代にも人気があります。生活動線がシンプルで、家事が効率的になり、家族間のコミュニケーションも活発になります。
また、設計の自由度が高く、バリアフリーや耐震性に優れている点も魅力です。しかし、平屋は広い土地や高い建築費用が必要なため、敷居が高く感じられることもあります。しかし最近では、コンパクトでローコストな平屋も注目されており、土地代や建築コストを抑え、効率的な生活が可能です。
狭い土地に平屋を建てる際は、スキップフロアを活用して空間を有効活用することや、廊下をなくす工夫、窓の設計に配慮することで、快適な住環境を実現できます。大きな窓で採光を確保しつつ、プライバシーや防犯面にも気を配ることで、狭い敷地でも理想の住まいを作り上げることができるでしょう。