道路沿いの家はうるさい?注文住宅の防音対策
2024.09.18道路沿いの家では、交通の騒音が生活に影響を与えることがよくあります。特に国道や幹線道路に面した住宅では、車の走行音や緊急車両のサイレンなどが日常的に聞こえるため、静かな住環境を望む方にとってはストレスとなることもあります。
しかし、注文住宅では防音対策をしっかりと行うことで、こうした外部の騒音を大幅に軽減することが可能です。本節では、道路沿いの家に適した防音対策について、効果的な方法やポイントを詳しく解説していきます。
注文住宅の防音対策の必要性と2つのケース
快適な住まいづくりをするには防音対策も重要です。家庭内の生活音や外部の騒音は、近隣トラブルや暮らす上でのストレスの原因となることが多いため、注文住宅を建てる際にはしっかりと防音対策を施すようにしましょう。
◇外からの騒音と内からでる音
住宅での騒音問題には、家の外からの騒音と家の内からでる音の2種類あります。外からの騒音とは、近隣の工事現場や道路、線路からの騒音や、隣家からの生活音などです。
これらの外部からの音は、自分ではコントロールできない場合が多く、一度気になり始めると注意がそちらに引き寄せられ、それがストレスに感じることも少なくありません。
また、自宅内での日常生活により発生する、洗濯機や掃除機の作動音、子供の足音や声、料理中の音、お風呂やトイレの水音などが「うるさい」と感じることもあります。これらの音が響く主な原因は間取り、使用材質、建物の構造に関連しており、特に吹き抜けがある住宅や上階がある木造住宅では音が響きやすいとされています。
◇注文住宅の防音対策の必要性
騒音は心理的ストレスにより引き起こして、睡眠妨害など日常生活に影響を及ぼし、集中力を損なうことがあります。これにより地価や不動産価格が下落する社会的影響も見られます。
防音対策を怠ると、自宅の音が漏れて近隣トラブルの原因となる場合があり、適切な防音対策によりプライバシーを保護し、外部の騒音を遮断することで、住環境の快適性を保つことが可能です。
防音・吸音・遮音とは?防音対策の基礎知識
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防音対策を考える際には、「防音」「吸音」「遮音」という3つの概念を理解することが重要です。これらはそれぞれ異なる役割を持ち、快適な生活空間を作るための基本的な要素となります。
◇防音性
快適な生活空間につながるのが防音性の高さです。「防音」とは、音の漏れや侵入を防ぐための対策を指し、具体的な方法に「遮音」と「吸音」があり、これらは防音の一環として活用されます。
適切な防音対策をするためには、騒音の性質や原因を理解する必要があり、建物の立地や間取りに応じた対策が必要です。防音性の高い住宅では、外の騒音に邪魔されることなく、外部に漏れる音を気にせずに生活ができるため快適です。
◇吸音性
「吸音」とは音を吸収し反響を防ぐことで、壁に細かい穴が開いた軟質ウレタンやポリエチレンフォームなどの吸音性の高い材質を使用することで、室内の音を効果的に吸収し外部への音漏れを防ぎます。
音楽室や録音スタジオでは、これらの音を吸収する穴や突起が付いた壁が、音漏れや反響の防止に役立っています。吸音のメカニズムは、細孔を持つ素材が音を取り込み、内部で拡散させて吸収し、反射する音の大きさが小さくなるほど、吸音性が高くなります。
◇遮音性
遮音は伝わる音を跳ね返して遮断して、外部に漏れるのを防ぐと同時に外からの音の侵入も防ぐ防音方法です。遮音性を高めることで、パトカーのサイレン、雷、ペットの鳴き声など空気を介して伝わる音に特に有効で、防音対策の中で比較的簡単に実施できる方法の一つとされています。
遮音材料には空気の含有が少なく、密度が高く重たいコンクリートや鉄板・石膏が使用され、これにより、音が外に透過するのを防ぎます。
道路沿いの家の騒音問題と対策
道路沿いの住宅では、近くの道路の交通状況が生活に大きく影響します。国道のような大通りの場合、救急車などの緊急車両が時間に関係なく頻繁に通過するため、騒音が発生しやすくなり、トラックの通行量が多い道では、夜間でも大きなトラックの騒音が気になります。そのため、道路沿いに注文住宅を建てる場合は、騒音対策が重要です。
◇道路沿いの家は音が気になる?
騒音とは人が「騒々しい」と感じる不快な音を指し、その大きさは騒音レベルで数値化され、デシベル(dB)で表され、騒音計で計測されます。例えば、20デシベルはほとんど聞こえない静かな音、40デシベルは閑静な住宅地の昼間や図書館での音で、寝室やリビングなどで望まれるのは40デシベル以下です。
50デシベルは通常の会話や家庭用の電化製品の動作音と同じで、音の感じ方は個人差があり、環境によっても適切な音のレベルが異なりますが、一般的には室内で50デシベルを超えると「うるさい」と感じる方が多いようです。
自動車の騒音には「騒音規制法」により限度基準が設定されており、幹線道路では昼間75デシベル、夜間70デシベルが上限があり、これを超えると生活環境に悪影響があるとされています。
一方、緊急車両のサイレン音については、国の保安基準で87デシベル以上112デシベル以下と定められています。
◇道路沿いの家の騒音対策
外からの騒音対策として、家の防音性能を高めることが重要です。特に、音が侵入しやすい窓には防音サッシを設置することが効果的です。一般的にアルミ製のサッシが多い中、樹脂製の防音サッシは窓枠の微細な歪みにもフィットし、気密性を高めて騒音の侵入を阻止します。
さらに、二重サッシを設けることで、外側と内側の窓の間に生じる空気層が騒音を防ぐバリアとなり、室内の生活音も外に漏れにくくなります。また、静寂を確保するために音圧を低減する防音壁、または遮音壁を設置する方法もあります。
防音壁はアルミやグラスウールが使用されているので、比較的低コストで、屋外の過酷な環境にも耐えうる高い耐久性を持っているため、国道や線路沿いの物件にも適しています。
他にも、騒音を防ぐために壁、床、天井に張り付ける高防音効果の防音シートを使用するのもひとつの方法です。
防音シートは塩ビと金属粉を挟み込むことで音圧を軽減し、低周波から高周波まで幅広い音域で効果を発揮します。また、防音パネルはアルミ、セラミック、石膏ボードなどの素材で作られ、その正方形の形状はDIYにも適しており、取り付けが簡単です。
注文住宅の防音性を上げるコツ
注文住宅の防音性を上げるためには、建材の選び方や設計の工夫が重要です。ここでは、防音性を上げるための効果的なコツや具体的な工夫についてご紹介します。
◇高気密・高断熱
高気密・高断熱の住宅は、外壁の気密性により外からの音を遮断し、内部の断熱材が漏れた音を吸収するため遮音性が高くなります。特に隣家が近い場合には住宅が騒音からの影響を減らし、隣家からの音の侵入を防ぎます。
さらに、高気密・高断熱住宅は熱の伝わりも抑えるため、快適な居住環境が実現できるのもメリットです。
◇鉄筋コンクリート造
防音性が高い建築構造の一例として、RC造やSRC造の鉄筋コンクリート構造があります。これらは鉄の骨組みにコンクリートを流し込むことで隙間が少なく密度が高いため、優れた防音性があるのが特徴です。
一方で、木造建築は通気性に優れた木材を使用しているため、RC造やSRC造に比べて遮音性が低いですが、カーペットの敷設や防音ゴムの使用、家具の配置による工夫を施すことで、室内の防音対策が強化できます。
◇間取りの工夫
防音対策には間取りの配慮は重要です。特に水回りのトイレや浴室などは騒音が発生しやすいため、寝室やリビングの隣、または上に配置すると、水の流れる音が気になる可能性があるためおすすめできません。
同様に、子ども部屋をリビングの上に設けると、子どもの足音や話し声が下に響くことがあります。音が発生しやすい部屋は、家族が多くの時間を過ごすリビングや寝室から離れた場所に配置し、また近隣とのトラブルを避けるために隣家に近い場所には設けないなど工夫しましょう。
注文住宅の防音対策は、家庭内の生活音や外部の騒音から住まいを守り、快適な生活環境を作るために重要です。騒音には、近隣の工事や交通の音など外部からのものと、家電や生活音など内部からのものがあり、これらがストレスや近隣トラブルの原因となることもあります。
防音対策には、音を吸収する「吸音」と、音の侵入や漏れを防ぐ「遮音」の2つが含まれます。特に道路沿いの住宅では、防音サッシや防音壁などの工夫が有効です。注文住宅の防音性を高めるためには、高気密・高断熱の建材の選択や鉄筋コンクリート造の採用、間取りの工夫が必要です。
例えば、騒音が発生しやすい水回りや子ども部屋をリビングや寝室から離して配置することで、室内の防音効果を高めることが可能です。